「締切り効果」というものに疑問を抱いている
何かやり遂げたいことがあるときに、タイムリミットを決める。
タイムリミットがあることによって、そこに向かって努力をするから、時間通りに終わるし、その時間までにきちんと力を発揮できる。
よく、ビジネス書なんか読むとこの締切り効果を有効に使え的な文句が出て来る。確かに、試験があるときはそこに向かって直前に詰め込むことによって成果を上げるし、期限の決まっていない、いつかやりたい的なものは結局手すらつけずに終わるような気もする。ゆえに、締切り効果というやつは正しいのだと、思ってしまっているところもあった。
だけど、僕はこの締切りによってモチベーションが上がった結果成果を出すということがあまりないタイプである。
僕は、頭のメモリがおそらくそんなに大きくない方で、ある課題に対して期限を決められると、どうもその期限が気になって頭の中がごちゃごちゃしてしまう。
課題の総量を残りの時間で割った結果、だいたい時間あたりこのぐらい出来なければいけないな、なんて思うと、そのノルマ的なものに頭の中を奪われてしまう。
そして僕は、頭を素早く働かせるのは苦手だから、ああ、これ間に合わないなと思う。そして、その考えが頭の中に渦巻くと、どうにも進まなくなる。
そこで、僕はどうるかというと、もう期限なんて無視し始める。所詮は自分の頭の速度でしか物事は進められないし理解できない。時間通りにやることを諦めるのである。
その結果、課題に集中できる。集中した結果、コツがつかめてくる。だから途中で速度が上がっていく。結果的に、締切に間にあう・・・・ことがある。
あくまで、ことがある。全部ではない。ダメだったものはダメである。
結局僕は、締切りを意識しない方がよい場合が多い気がする。締切りの存在が「今、こここ」への集中を妨げる。
与えられたことを、正確かく迅速に処理できる頭を持っている人間にとって、おそらく締切りというのは、適度なペースメーカーとなりうるのだろう。
だけど、そうならない人もいる。僕なんかは、これまでの人生を振り返ると締切りから自分を開放させた後、ようやく力が出てくるタイプであった。
(もしかしたら、この締切りから自分を開放するというプロセスに何らかの意味があるのかもしれないが。そうすると、やはりその意味において、締切り効果はあるということにもなろうか)
だけど、世の仕事にはこの納期がきっちり定まっているのが一般的で、これを守れるかどうかで、評価が大分変わってくる。このような世の中は、僕みたいな人間にとって非常に苦しい。なんとかならんもんかなといつも考えている。
できれば、この欠点を直す努力をするのではなく、この欠点を前提に前向きなことを提案する、という方向で。